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【映像翻訳者とは】どんな仕事?どうやってなる?稼げるの?

映像翻訳
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ご訪問ありがとうございます。フリーランス映像翻訳者のelly (@ellyeblog) です。

高校生の頃からハリウッド映画が大好きで、当時は雲の上の存在だった「字幕翻訳者」。まさか自分がなれるものだとは思っていませんでしたが、今は日々、天職とも思えるこの仕事を楽しんでいます。

そして思うのは、

  • 映像翻訳の分野は非常に多様化&拡大してきている。
  • 「翻訳」と違って「映像翻訳」の仕事は将来AIには奪われない。

ということ。つまり、将来性は十分にある仕事だと言えます。

今回は、そんな映像翻訳の仕事について紹介してみたいと思います

 

・映像翻訳ってどんな仕事?
・どうやったらなれるの?

・稼げるの?

 

そんな疑問にお答えします。

 

筆者について1979年生まれ、東京在住3児の母。
大学で言語学を専攻し、英文法の面白さに出会う。地元の翻訳会社に6年勤務し、29歳で上京。派遣社員をしながら映像翻訳学校4校に通う。2011年、31歳でフリーランスの映像翻訳者に。現在の専門は英日字幕翻訳(英日吹替翻訳と中日字幕翻訳も少し)

 

「映像翻訳」ってどんな仕事?

映像コンテンツを様々な手法で翻訳する仕事

映像翻訳は「翻訳の仕事」の1分野。翻訳には主に以下の3分野があると言われています。

◆「産業翻訳実務翻訳
(ビジネス・IT・法律・医療・特許などの文書の翻訳)
◆「出版翻訳
(小説・雑誌・絵本・漫画など書籍の翻訳)
◆「映像翻訳
(映像コンテンツの翻訳)

そして映像翻訳の中に、「字幕」「吹き替え」「ボイスオーバー」3つの手法があり、それぞれ独自のルールがあります。

 

翻訳するのは劇場作品だけじゃない

「映像翻訳者(字幕翻訳者)」というと戸田奈津子さんが有名で、「外国映画に日本語字幕をつける仕事」というイメージが強いですが、それは数ある映像翻訳の仕事の中のほんの一部にすぎません。劇場で上映される作品だけではなく、映像翻訳で扱うコンテンツは実に様々です。

 

エンタメ系劇場公開作品、テレビやネットで配信される映画・ドラマ・アニメ・ドキュメンタリーなど
ビジネス系海外ニュース、企業のPR動画、ウェビナー映像、説明会映像、製品紹介映像など

最近ではゲーム翻訳のジャンルもありますし、エンタメ系だけではなく、「ウェビナー」のように産業翻訳と映像翻訳を組み合わせた案件も多く、その場合は語学力よりも専門知識がある人が歓迎されます。

また働き方も「社内翻訳者」「在宅ワーカー」など様々。フリーランスでも、自宅で仕事をする人ばかりではなく、テレビ局などに出向いて現場でニュースを翻訳する人(放送翻訳者・メディア翻訳者)もいます。

このように、とにかく「あらゆる分野の映像コンテンツを、あらゆる手法で翻訳する」のが映像翻訳という仕事であり、とても奥が深いのです。

 

私は新卒で翻訳会社に就職し、実務翻訳者からスタートしましたが、その後、映像翻訳に憧れて専門の学校に通い、映像翻訳者になりました。

 

どうやったら「映像翻訳者」になれる?


↑  映像翻訳者を夢見ていた頃によく読んだ本は今でも捨てられず取ってあります。)

 

映像翻訳のルールを学ぶ

先ほど述べたように、産業翻訳や出版翻訳と違い、「映像翻訳」には覚えるべき細かい独自のルールがあります。

<字幕>

  • 字幕制作ソフトの使い方
  • スポッティング(ハコ切り)のやり方
  • 1秒何文字といった文字数制限
  • 句読点・記号などの表記のルールなど

<吹替&ボイスオーバー>

  • 台本の書き方など

 

この基本ルールを知っていないと映像翻訳の仕事はまずもらえないため、映像翻訳専門の学校で学ぶか、映像翻訳を扱っている翻訳会社や制作会社で働くのが近道になります。特に映像翻訳学校はエージェントの役割も兼ねているところが多いので、修了後にトライアルに合格すれば登録翻訳者となり、仕事にもつながりやすいです。

 

私が地方から東京の翻訳学校に通っていた頃とは違い、今はオンラインで受講可能なコースも増えています。

 

下積みの仕事から始める

実際に翻訳の仕事を探す段階になったら、翻訳者ネットワーク「アメリア」の会員になるのがオススメです。翻訳関係の求人やコンテストが非常に多くあるので、積極的に応募すれば仕事につながりますし、翻訳者を目指す上での役立つ情報が満載です。

私も実際に「アメリア」を通して映像翻訳の仕事をいただいたことがあります。

 

中には「スポッティングのみ」「翻訳チェッカー」「翻訳関連業務(プロダクションノートの翻訳など)」といった求人もあり、これも立派な映像翻訳の仕事と言えます。

 

 

クラウドワークスやランサーズなどのクラウドソーシングサービスにも、数は少ないですが翻訳や映像翻訳の仕事があるので、未経験可のものから少しずつ実績を積んでいく方法もあります。

 

 

私の場合は正社員→派遣社員→フリーランス

1つの例として、私がフリーランス映像翻訳者になるまでの経緯を簡単に紹介します。

大学卒業後、翻訳会社に入社

学生時代から英語は得意科目、でもしゃべれない

外国映画が好きだったこともあり、中学・高校と英語は得意科目でした。でも当時は完全に受験英語で、読み書き中心。大学時代に短期・長期で留学はしたものの、性格的な問題もありスピーキングはずっと苦手。なので好きな語学を活かした仕事の中でも、「翻訳」という仕事に自然と興味を持つようになりました。

大学生のうちに英検準1級とTOEIC 935点を何とか取得したものの、卒業時は就職氷河期だったり、面接試験が苦手だったこともあり就職先がなかなか決まらず。大学卒業間近の3月に新聞広告で求人をしていた地元の翻訳会社に運よく入社することができました。

 

翻訳会社で翻訳の修行の日々

スタッフ4名の小さな翻訳会社で、正社員としていきなり翻訳を任されましたが、毎回、社長にチェックをお願いした原稿は真っ赤に修正されて返ってきました。一方で私自身もチェッカーとして、外注の翻訳者さんから納品された翻訳をチェックする機会も多く、働くというよりも勉強させてもらっていた時期です。

当時の翻訳内容は、技術マニュアルなどビジネス系が中心でしたが、自治体の母子手帳の多言語翻訳や、国際結婚の際に必要な書類の翻訳、さらには結婚指輪に刻むメッセージからハリウッドスターへのファンレターの英訳まで、誰かの人生のお手伝いができた実感が得られるものは特に印象に残っています。

やりがいのあった職場でしたが、入社5年目の時(2008年)にリーマンショックがあり業務量が激減。30歳を目前にして自分の将来を真剣に考え、「もっと翻訳の勉強がしたい!」と、毎週末、東京の翻訳学校に通う生活を半年続けました。

その時に通ったのはNHKのニュース翻訳者「ニュースライター」を養成する「国際研修室」という学校。とてもレベルが高く、ついていくのに必死だったことを覚えています。

 

上京→通学しながら派遣社員→フリーランスへ

翻訳会社を辞め上京

今思えば、国際研修室に通ったことが人生の大きな分岐点になりました。私よりももっと遠方の新潟や兵庫から通学している人たちとの出会いが刺激となり、「東京で働きたい!」と上京を決意します。

6年間勤めた翻訳会社を辞め、東京の商社で派遣社員として翻訳をしながら、国際研修室でニュース翻訳の勉強を継続。でも進級できずに挫折を味わい、悩む中で、「ニュース翻訳よりも、やっぱり映画の字幕翻訳者になりたい」という気持ちが再燃しました。

 

映像翻訳学校3校に通学

国際研修室を辞め、字幕制作会社が運営している映像翻訳学校に半年通学し、ここでの勉強があまりにも楽しく、課題が少なめの学校だったので、さらに別の映像翻訳学校の通信講座を並行して受講しました。

この2校での勉強が修了した後、さらに大手の映像翻訳学校に1年通学。卒業時のトライアル試験に合格したのを機に、2011年、派遣社員として勤めていた会社を辞め、フリーランスの映像翻訳者になりました。

 

 
字幕翻訳の場合は、字幕制作ソフト「SST G1」を使って作業をしています。)

 

>>フリーランスの第一歩、「開業届」を出そう!

 

実際の収入はどれくらい?

多い時は一般の会社員並み

映像翻訳の料金は、その映像の尺(長さ)で決まるのが一般的で、経験やクライアントにもよりますが、英語→日本語の場合、1分あたり700円~1000円(10分あたり7000円~10000円)が相場のようです。

例えば、単価800円/1分で100分の長編映画を翻訳した場合、800円×100分=8万円の翻訳料がもらえるということ。

そして長編映画1本につき、だいたい1~2週間で仕上げるのが普通(実際の仕事では、翻訳以外にもスポッティングや調べ物などの時間も必要です)。

仕事が早い人なら、1か月に3作品受けることも可能なので、一般の会社員と同じぐらいは稼げるイメージです。ただし安定してお仕事がもらえるかが分からないのが、この仕事のデメリットではあります。

 

将来性はある?

AI翻訳にはできない「映像翻訳」

将来、翻訳の仕事はAIに奪われるとも言われています。確かに最近のAI翻訳の進化は目覚ましく、大まかな意味を知る目的では、翻訳者に頼る必要はなくなってきました。

でも映像翻訳の独自のルールを守り、映像作品の細かいニュアンスを正確に伝え、作品として仕上げるためには、やはり人の手が必要であり、完全にAIには取って代わられないと個人的には感じています

 

得意分野があると強い

先ほども述べたように、「劇場公開の有名作品の字幕・吹き替え翻訳をする」となると非常に狭き門ですが、今は動画のネット配信が非常に増えていますし、ウェビナーなどのビジネス系の案件も増えてきているので、経済、工業、法律、医療、技術など、得意分野がある人は絶対アピールすべきです。

また副業や在宅ワーク向けのクラウドソーシングのサイトでも、YouTube動画に字幕を付ける仕事なども見かけますし、それこそアジアやヨーロッパの作品・コンテンツも含めると映像作品はさらに多いので、他の外国語ができる人なら仕事の幅はかなり広がります。

おわりに

「翻訳」という仕事は、人と人、文化と文化の懸け橋になれるやりがいのある仕事です。特に映像翻訳の場合は、映像作品の「感動を伝える」楽しさがあります。

クライアントさんいわく、「優秀な映像翻訳者」は常に人手不足。私も日々精進して翻訳の世界で生き残っていきたいと思っています。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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