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【フリーランスへの道】開業届を出そう!メリットや注意点は?

仕事

 

こんにちは、フリーランス映像翻訳者のelly (@ellyeblog) です。フリーランス歴は2022年現在で11年になります。

最近は働き方が多様になり、副業も解禁されるなどして、企業や組織に属さずに仕事をするフリーランスという働き方を選ぶ人が増えてきたのではないでしょうか。

私は「翻訳」という職種柄、もともとフリーランスに憧れていて、8年ほど会社勤めをしたのち独立しました。

というと聞こえはいいですが、会社勤めが苦手、接客が苦手、電話が苦手… な私には、「何が何でもフリーランスになる!」という目標がありました(笑)。今は子育てをしながら、自宅で自分で時間を決めて仕事ができるこの働き方にとても満足しています。

 

今回はそんなフリーランスに興味がある方に向けた記事です。

 

フリーランスで仕事を始めるとき、まずやることは「開業届」を出すことですが、そもそも「開業届って必ず出さないといけないの?」と疑問に思うかもしれません。

開業届を出さずに仕事を始めても違法ではなく罰せられることはないようですが、開業届には「税務署への通知」「開業の証明」といった役割があり、また出すことで様々なメリットがあります。今回はフリーランスの第一歩である「開業届」について掘り下げて書いていきます。

なお「フリーランス(フリーランサー)」と「個人事業主」はどちらも「組織に属さず独立して仕事をする個人」のことですが、個人事業主は税務上の区分になります。つまりフリーランスの人が開業届を提出すると、税務上の区分としては「個人事業主」になるということです。

 

フリーランス
組織に属さず、独立して企業などから仕事を請け負っている個人のこと。
(通訳翻訳者、ウェブ制作者、デザイナーなど)

個人事業主(=自営業)
開業届を出し、組織に属さず自ら事業を行っている個人のこと。
(通訳翻訳者、ウェブ制作者、デザイナーなどに加え、飲食店経営者(※法人は除く)など)

SOHO(Small Office Home Office)
小さなオフィスを借りて仕事をしたり、自宅の一部を仕事場としている場合のこと。
フリーランスや個人事業主でも、企業内に自分の席があれば該当しない。

ノマドワーカー
仕事場を限定せず、自宅やカフェ、海外など好きな場所で仕事をする個人のこと。
会社員でも、仕事場が限定されていなければノマドワーカーに該当する。

内職
製造業者などから支給された原材料を加工して納品することで工賃を得る「労働者」のこと。

 

私のような翻訳の在宅ワーカーで開業届を出している場合は、フリーランスであり、個人事業主(自営業者)であり、SOHOでもある、ということ。さらにカフェなどで仕事をしていればノマドワーカーにもなるということですね。

さらに言うと個人事業主は法的には「独立して仕事を反復継続している個人」と定義されています。なのでネットオークションやフリマなどで収入を得ていても、「反復性」と「継続性」が認められないため個人事業主には該当しません(※ネットショップ経営などは除く)。

 

開業届とは?

正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」のこと。「新たに事業を開始したとき、事業用の事務所・事業所を新設、増設、移転、廃止したとき又は事業を廃止したとき」に提出する書類で、用紙は税務署でもらうか、国税庁のホームページからダウンロードできます。本業にしろ副業にしろ、個人で何か仕事を始める場合に提出します。

 

開業届の書き方・提出方法

開業届の記入は特に難しくはありません。私が迷ったのは「屋号」くらい。「屋号」は会社でいう会社名にあたるもので、個人名義よりも社会的信頼を得られたり、事業用の銀行口座の名義にできたりと、メリットは様々あります。

ですが屋号が決まっていない場合や決めたくない場合は、この欄は未記入でも問題なく、後から変更することもできます(私はなぜか氏名をそのまま書いて出しています。翻訳業なので、ペンネームのつもりだった記憶が…)。

また「職業欄」も迷うかもしれません。「フリーランス」は職種ではなく雇用形態(働き方)なので、翻訳なら「翻訳業」、ブログ運営なら「執筆業」「ウェブサイト運営業」などのようにします。翻訳もブログ運営もやっている場合は、メイン収入の1つを書けばよく、メインがどれか分からない場合は、すべての職種を書いておけば間違いないようです。

屋号も職業も、後から変更する際は届出の必要はなく、確定申告をする際に新しい屋号や職業を記すだけで大丈夫です。ただし、元の事業を止めてまったく違う事業を始めた場合は、開業届を再提出する方がよいと思います。

ちなみに「確定申告」の方の職業欄は、個人事業税(年間290万円以上の所得がある場合のみ)の課税対象になるかどうか(法定業種70種類に該当するか)を判断するための項目なので、「開業届」の職業欄よりも重要になります。

 

  • 提出時期:事業の開始等の事実があった日から1か月以内。←開業日は自分で決めてOK
  • 提出方法:書類に記入し、管轄の税務署に持参または郵送。

 

提出時の注意点として、原本控えを必ず残すこと。税務署側は控えをくれるわけではないので、自分で予めコピーしておき、税務署の「収受印」を押してもらいましょう。郵送の場合は「控」と書いたコピーと一緒に切手を貼った返信用封筒を入れておけば、収受印を押して返送してくれます。

この控えがないと、その後のいろいろな手続きができなくなってしまうので、大切に保管しましょう。

 

私は2011年3月に、直接税務署に持参しましたが、拍子抜けするほどあっさり受理されたことを覚えています。そしてその日から、「これで個人事業主と名乗っていいんだな」という自覚も生まれました。

 

 

開業届を出すメリット

 

青色申告を選択できる

フリーランスになると、毎年確定申告をしなければなりません。申告には「青色申告」と「白色申告」の2つの方法がありますが、開業届と同時に「青色申告承認申請書」を提出すると、節税効果の高い青色申告を選択できます。

青色申告のメリット
  • 10万円または65万円の控除を受けることができる。
  • 家族への給与を経費にできる。
  • 30万円未満の減価償却資産を全額経費にできる。

 

つまり、所得から10万円または65万円の控除を受けて所得が下がる分、税金が安くなります。またパソコンなど事業を行う上で購入する備品のうち30万円未満であれば、条件を満たすと全額経費として処理できます。

 

事業用の銀行口座を開設できる

開業届に記載した「屋号」で銀行口座を開設することができます。個人用と事業用で銀行口座を分けておくと、収支管理が楽になり、確定申告も楽になるようです。※私は収入規模が小さいので、今のところ別途口座は開設していません。

 

小規模企業共済に加入できる

フリーランスになったら、小規模企業共済への加入をぜひ検討してみてください。私も開業直後の33歳のときに加入しました。

小規模企業共済とは、個人事業主や経営者の退職金制度のようなもの。将来、事業を廃止する際に、それまで積み立てた掛け金に応じて共済金を一括または分割で受け取ることができます。しかも掛け金(月額1,000円~70,000円の500円単位で自由に選べ、変更も可能)は全額所得から控除されるため、節税効果もあります。

 

例えば、2020年6月開業、2050年5月退職予定で、掛け金50,000円/月での加入シミュレーションがこちら▼f:id:elly-m:20200629002520j:plain

 

返戻率(へんれいりつ)最大143%というのは、他の貯蓄型保険の返戻率や銀行の利率よりもはるかにいいです。我が家は資産運用の目的で掛け金も多めにしています。

個人事業を継続したまま20年未満で任意解約すると元本割れしてしまいますが、廃業(退職)の場合は100%戻ってきます。少額から始められますし、加入期間が長いほど得をするので、開業と同時に加入することをおすすめします。

 

保活で保育を必要とすることが証明できる

子どもの保育施設の利用申込時に、「保育を必要とすることを証明する書類」を提出しなければならない自治体がほとんどだと思います。会社員なら「勤務証明書」1枚で足りるのですが、フリーランスなどの自営業の場合、私の自治体では「勤労状況申告書」+「自営の証明2点」が必要です。

「自営の証明」となるものは、以下の①と②からそれぞれ1点ずつ。

①自営の内容が確認できる書類
(法人登記簿謄本、開業届、営業許可証、ホームページ、パンフレット、チラシ)

②直近の就労状況が確認できる書類
(預金通帳、請負契約書)

 

私の場合、①では「開業届」しか出せるものがありません。実際の仕事のメールのやりとりや翻訳原稿を見せても、それはあくまでも補足資料に過ぎず、証明書としては認めてもらえないわけです。

開業届を出していたおかげで、私はフリーランスでも娘たちを保育園に入れることができました。

 

開業届を出すデメリット

 

失業保険を受け取れない

会社を辞めると失業保険の給付を受け取ることができますが、そもそも失業保険は、再就職を希望している人が仕事を見つけるまで給付されるものなので、開業届を提出すると「仕事をしている人」とみなされ、給付を受ける資格を喪失してしまいます。

なので会社を辞めてから収入が見込めないうちは開業届を提出せずに失業保険を受け取り、給付期間が経過してから提出する方が良いかと思います。

 

所得が年20万円以下でも確定申告が必要になる

確定申告は、給与所得や退職所得以外での所得が年間20万円以下であれば不要ですが、開業届を提出すると、所得が年間20万円以下であっても必ず確定申告をしなければなりません。

 

住所が変わる度に「異動に関する届出」が必要になる

結婚で姓が変わったり、引越しで住所が変わる度に「所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書」を提出する必要があるので、その分、少しだけ手間が増えます。

 

まとめ

開業届そのものの提出は簡単なのですが、確定申告が必要になるなど何となく面倒に思いがちです。ですが開業届を出すことによるデメリットなんて本当にごくわずか。むしろ出さないと、得られるはずのメリットが得られなくなってしまうので賢明とは言えません。

これからフリーランスとして働くことを検討している方の参考になれば幸いです。

 

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